博士課程のメリット・デメリット
博士課程のメリット・デメリット
メリット
•20歳代のアイデアを出すための大事な時期に自由でいられる.
•海外留学できる.数ヶ月から1年間海外で過ごせる.
•国際会議で色々な国に行ける
•志の高い研究者仲間と時間を共有できる.
•自分の名前で成果を発信できる.
•博士号は研究者としての免許である
•大学教員になるための近道である.
•博士取得後の就職も極めて良い.
我々の分野(光学分野)で博士の学位を取得した後に,難しい人生を送っている人はいない.分野によって影響されるので,ネットに書かれている否定的な情報を信じてはいけない.私の教え子で,4人の日本人博士取得者は,4人とも大学教員になった.ドクターを終了後,ソニー入社後,退職して大学教員になった人もいる.企業への就職も,修士以上に良いと思います.企業で研究に近いところで人生を送りたい人にとっては,博士学位の取得は重要である.
•生活費
奨学金やRAなどが支給され,お金の心配は無い.(富豪の生活はできないが...)
•学費
保護者がリッチで無ければ,学費免除される可能性大.
•研究者になるために
大学・研究所・企業でも,研究者になりたければ,博士課程にいくしかない.
•ステータスの向上
○○博士やドクター○○と呼ばれる
•人生逆転のチャンス.
研究に必要な能力は,大学入試で良い点をとるための能力とは違うところにある.
デメリット
•友達と少し違う人生に不安
多くの友人が修士終了後,就職して社会に出て行くの不安.
•英語の論文を2,3報書く必要がある
ネットに書かれているデメリットの多くは,デメリットでは無い
(分野によって状況は異なるのに,多くは一色単に語られている.すくなくとも 博士(工学)では,就職に困っているような人を見つけられない)
就職が遅れる.企業経験が遅れる
今は日本人ドクターの数は多くないですので,国際会議参加を通じたアメリカ・ヨーロッパ・アジアのあらゆる国でのの海外経験.留学,外国人との議論.この研究業界に高密度でいる天才や秀才達との議論,このような他の人と違う経験をもつことはメリットである.数年の企業経験の遅れなど何の問題も無い.天才達の近くにいれば,天才にはなれないけど,天才が無意識に行っている天才のメソッドを学ぶことができる.
自分の専門のことしか興味を示さなくなる. 企業側からすると使いにくい.
当たり前である.その人の専門を使いこなすことが重要.だいたい,天才にコミュニケーション能力を求めない.あなたが,その天才の翻訳家になれれば大成功.きっと,その天才は,10年に1度,その組織に大きな恩恵をもたらす.我々は凡才なので心配する必要は無い.コミュニケーション能力もそこそこあって,博士課程で身につけた専門知識(我々の場合は光学)を他の分野に活かす術を知っている.
就職範囲が狭くなる.
当たり前である.それが専門家になるということ.ただ,ピアノを学んだ人が全員ピアニストになるわけではないのと同じように,光学を学んだ人が光の関係する仕事に就かなくてよい.しかし,1つのことをある程度極めた人は,それを汎化して他の分野に適用できる.簡単に言うと,光の知識がそのアナロジーによって電子技術の発明や生物学の発見につながったりする.ピアノがうまく弾けることは,その人の人生を豊かにするように,ある学問で何かをなし得た人の人生も同じように豊かになる.光学は,広い適用範囲を持つので,光学産業・電子産業はもちろん,土木,アパレル,食品・・・ 多様な業界に就職できる.研究室の就職先が多様なのも,光学を専門としていることに由来する.
続く...